ともさんの日常(ティータイム)。

旅をする多趣味なオタクです。たまに難しい話をしたり、旅の報告とかやります。

「ahamo」はデジタル知識階級への富の再分配である

こんにちは。ともさんです。

 

ドコモが新プラン「ahamo」を発表しました。世間はかなり盛り上がりましたね。

www.nttdocomo.co.jp

 

その実は、長年、携帯業界を見てきた(?)私も、かなり驚きを感じるプランでした。

・(本当に)一切追加料金なしの2980円

・当然契約年数での縛りなし

・契約手数料なし

・海外ローミングも無手数料!

・5分間かけ放題付き!

これをドコモが出すというのは信じがたいことです。どれくらいすごいかと言うと、最新機種のiPhone12 Proが5万円くらいになったイメージです。SEではなく、12Proが、です。

 

元々、格安スマホと呼ばれるモノはありました。(正式にはMVNO=Mobile Virtual Network Operator、と言います)MVNOは、ドコモなどの回線の一部を間借りすることにより、自分たちでアンテナを建てずとも通信事業を行うことが出来、ショップもあまり持たず基本的にはオンライン契約とすることで安さを提供してきたのです。

 

しかし、彼らにも問題点はありました。それは、"繋がらないこと"です。全部で6車線あるドコモの道路のうち1車線を借りて運営しているイメージですから(だから安い)、当然混雑時には渋滞してしまいます。その間、6車線を使えるドコモ本家は当然渋滞しません。

 

もう少し車線の数を増やしたのが、ワイモバイルやUQモバイルです。彼らはソフトバンクau(大手キャリア)の直轄する子会社です。親会社には及びませんが、基本的に使っているうえで不満が起こらない程度には渋滞しません。価格は多くのMVNOより少し高いくらいです。安い割にちゃんと使えるという事で、割と人気でした。

 

しかし、今回のahamoは、そのワイモバイルやUQモバイルよりも安いのです。ちゃんと6車線全部と5Gまで使えるのに。なんということでしょう。これで、彼らの存在意義は完全に無くなってしまいました。ワイモバイルやUQモバイルで契約しているのは、それなりにITの知識がある層です。早急に何らかの手を打たなくては、両社から人が居なくなるのは時間の問題です。

 

と、ここまででahamoのヤバさはお分かりいただけたかと思います。

 

ここからが本題になるのですが私はこれを、ここ最近、様々な場面で行われてきた「デジタル知識階級への富の再分配」の一つの新しい例だと思うのです。

 

 

一つのわかりやすい例としては、キャッシュレス消費者還元制度です。(もう懐かしい感じがするものです)

増税に伴う施策でしたが、キャッシュレスの手段で支払った場合、政府がその一部を還元してくれるというものでした。ですが、考え方を変えれば、これは「現金を使う人から集めた税金をキャッシュレス利用者に配る」ということでもあります。

 

ahamoはこれと同じ構造です。今まで、ドコモなど大手キャリアが多くのコストを割いてきたのが、対面式のサービスです。しかし、ユーザーの一部はもはや対面式のサービスを必要としていないのです。(既に、少しネットが分かる人なら、完全にオンラインで契約可能)にもかかわらず、そのようなユーザーも対面式のサービスを必要とするユーザーの分も負担しなければならない。それが、携帯料金が下がらない理由の一つでした。

 

現金や対面式のサービスなど従来型のシステムは、そのシステムを維持することに多くの費用が掛かります。で、あるからこそ世の多くの企業は、現金よりキャッシュレス、有人より無人、対面よりオンラインにきりかえようとしているのです。

 

様々な新しい技術が開発され、それを取り入れてコストを削減することは技術的には可能です。しかし、旧来のシステムを使いたい人(旧来のシステムしか使えない人)に合わせて社会全体でそれを維持してきたのが今までの時代です。

例としては、現金輸送車です。実は、現金を運んだり、保管することにはかなりの費用を要します。(常に盗まれ、襲われる危険性が伴うため)コンビニのATM1台1台に厳重なセキュリティを導入しなければならないのも同じようなものです。現金を計算し、レジ締めを行う人員もそうです。それらは、現金を使う人が居なくなれば必要のないコストです。そして、現在の技術があれば本来、現金を使う必要はありません。

 

マイナンバー制度を利用すると、ポイントがもらえるというのも同じです。「税金の無駄遣い」と揶揄されていますが、今まで行っていた様々な事務手続きが不要または簡素になり、それにより浮いてくる費用の一部を還元しているようなものです。

むしろマイナンバーに移行しない人々こそ、税金の無駄遣いをさせていると言えます。

 

本来はしなくてもよい負担を強いられていたある程度デジタルの知識がある人々に対しては携帯の利用を安く解放しようというのが、今回のahamoなのです。そのような人々は、何か困りごとがあれば自分で調べて解決するか、オンライン式のチャットを使います。要するに、積極的に新しい技術を使ってくれ、コストが掛からないユーザーなのです。

 

ahamoの登場は、これからの時代は、旧来のシステムを使いたいならば、それ相応の負担を求められる時代になることを意味しています。

対面式のサービスを必要とするユーザーへの負担は今までより大きくなることでしょう。ショップの数は減ることは間違いないでしょうし、ショップでのサポートは有料になるかも知れません。

 

このような動きは、今後携帯電話業界全体で進むでしょう。そうしなければ、auソフトバンクは生き残れません。

楽天はどう動くでしょうか。楽天モバイルは4社目の大手キャリアという立ち位置でドコモを焦らせ、今回の新プラン導入に踏み切らせた功労者と言えますが、その役割を果たした時点でお役御免なのでしょうか。おそらく、そうはならないでしょう。

また以前の3社に戻れば、元の木阿弥で携帯料金は戻ってしまうかも知れません。そのために政府としても、楽天モバイルを生かし続ける必要があり、何らかの手は打つでしょう。

 

今後の携帯業界から目が離せませんし、より安くサービスを使いたいのであれば、皆さんも注視すべきだと思います。

以上、ahamoのお話でした。